2011.4.18

初個展に向けて -Hansen’s Arms 神谷ハンセンさん-

夏を思い出すような潮風と日差しの中、ボーンカービング・アーティスト、神谷ハンセンさんの仕事場へ。 来る5月に開催するLopiの個展で、私が撮影したハワイでの写真を、商品と同時展示予定で、そのフレーム製作をハンセンさんに依頼しました。 今回で2回目の訪問。やわらかいホワイトの木のお家に、今日はひときわブルーと赤が映えています。 ボーンカービング、ティキの彫刻、レストランの内装やフレーム製作など、様々なお仕事を手がけられています。 お名前を耳にしたのは、藤沢のJamin’というレストランでのLiveに友人と通っていた時、毎回そこに飾られている写真とフレームに心ときめいていた私が、レストランのオーナーに尋ねたのがきっかけでした。

初めて伺ったのは昨年秋。趣味で撮影している私のような素人の写真を丁寧に見て下さりながら、「こういう視点で、においを感じる写真が撮れる感性。こういう所に投資を出来るあなたは、良い人生を送ってきたかたなんですね」と言葉をくださったハンセンさん。色々なお話をさせていただきました。

チラリと見える、床置きの巨大な丸太。これは「ティキ」と呼ばれるポリネシアの神様を彫刻する為の材料となる木。

いつも熱心に、ご自身のお仕事のお話をしてくださるハンセンさん。この日は地方からのオーダーで製作された、ジンジャーの花をモチーフにしたフェンスを見せてくださいました。

ボーンカービングとは、ポリネシアの伝統的な彫刻。その昔海洋民族は、部族の誰かが亡くなると、その骨で釣り針を作り、それで漁をすると富をもたらすといわれていたそうです。現在では、鯨や牛の骨を使い、お守りとして、身につけるようになりました。

ハンセンさんの元に一通の電話が。気仙沼の避難所からのお電話だったそうです。

その男性はお家が津波で流され、身一つで非難されたとのこと。「以前作っていただいたHook(釣り針の形をしたボーンカービングのネックレス)もなくなってしまいました。もう一度作っていただけませんか?」 自分の作っているものは、いわゆる「生活必需品」ではないもの。そういう状況下では必要とされないものだと思っていた。というハンセンさん。驚かれたと同時にとても嬉しく感じ、プレゼントという形でオーダーを受けられたそうです。「神様から、おまえはこの仕事を続けていっていいんだ。と言われた気がした。」と語るハンセンさんの目は、キラキラと、強さの中に優しさが溢れていました。

1