エレベーターを降りて右側がBookbinding（製本）のスペース。左側がPrinting（印刷関係）のスペース。私が通っていたのは、ビルのワンフロアにある学校でした。そこの学校には、講師とスタッフ、生徒の他、スタジオの設備を借りながら自分の作品を制作している人もいました。Workshopは、月曜～金曜までで一区切りのクラスと、土日クラス。中には一日でシンプルなスケッチブックを仕上げたり、紙を染めたりというクラスもありました。私は、すでに日本で製本経験があったのですが、どれも興味を惹かれるクラスばかりでした。
６クラスほど受講した内、中級以上の人達を対象としたクラスがありました。学んだ技術はもとより、それ以上に、このクラスを通して出逢った先生と生徒の方達には、私に大きな学びと刺激を与えて下さいました。
写真は、この学校に住み着いていた長老猫Lissie。英語のデモンストレーションと長時間の作業で、私が疲労困憊している時、何度も様子を伺いに来てくれた可愛い子でした。
Lizzie
２年前の夏、私はニューヨークのBookArtの学校に通うため、２ヵ月半ダウンタウンのアパートメントに住んでいました。アッパーイースト、アッパーウェスト、チェルシーにグリニッチヴィレッジ。ハーレムにミッドタウン・・・。４回目のNYでしたが、いつ行っても飽きることがありません。きっとその魅力は、あんなに小さな島でありながら、いくつもの街の顔があり、それらがくっきりと分かれていて、その地区その地区で、そこに暮らす人、歩いている人、お店の佇まいまでも違う。そんな所なのではないでしょうか。今回は私が一番好きなダウンタウンと呼ばれるエリアを写真でご紹介します。
２年前、自身のブランドをスタートさせた時、好きな場所のひとつであるハワイ。そしてそこで暮らすハワイ人の考え方や思いに惹かれ、共感していた私は、ブランド名をハワイ語にしたい。という思いがありました。そこに人との出逢いやつながり、縁の不思議。そして製本やハンドメイドの意味も込めたい。と、ハワイ語で「糸」という意味のある「Lopi」と名付けました。大学時代は英語を専攻していましたが、通訳や翻訳家になりたかったわけではありませんでしたし、仕事として何がしたいのか。模索していた頃、母が日本では珍しいレザー（一枚革）のショップをスタートさせました。最初は軽い気持ちで手伝っていたのですが、そのレザーを染色、なめしている祖父の工場へ足を運ぶうちに、素材としてのレザーが出来上がるまでのその工程の多さ。スケールの大きさ。そして、そのほとんどが手作業であったことに驚くと同時に、感動せずにいられませんでした。その時の感動が、私を自然と物作りの世界へと導き、今でも私の制作活動のエネルギーになっている気がします。
Oahu ,2010
音楽をやっているみなさんは、どういう楽譜を使っていらっしゃるのでしょう。私はウクレレを習っています。習い始めてから数年たった今、曲のレパートリーがずいぶんと増え、クリアファイルが２つに渡りました。ファイルは大変便利なものなのですが、あまりにも飾り気がなく、ちょっと物足りないような感じがし、一冊にまとめたい気持ちもありLopiのノートブックの楽譜サイズを製作しました。楽しい気分で弾くウクレレ、表紙のレザーはハワイの植物を感じさせるペパーミントグリーン、中を開くと海の色のグラデーション。というイメージです。開くページによってビビッドなターコイズブルーや、アンティークベージュ。またあるページはネイビー・・・と、開く楽しみもあります。また、楽譜を貼るだけでは味気ないので、時々友人と行く湘南のお店にいつも飾ってありファンになった、写真家の市川紀元さんから直々にいただいたポストカードもスクラップ。お会いし、作品通りのお人柄に、友人と嬉しく暖かい気持ちになったひと時でした。そんな海の写真を眺めながら弾くと、なんとなくゆったりと上手にウクレレが弾ける、そんな気がします。楽譜サイズは、カスタムメイドにてオーダー製作を承れます。
「南仏の空のブルーのイメージで」。今回のお客様がプレゼントするお相手が、南仏モンペリエ出身のフランス人女性で、結婚祝いにということでオーダーを受けました。メインのレザーには、南仏の空のターコイズブルー。紙の挿し色には、南仏の花ヒマワリをイメージし黄色を。結婚祝いということで、お２人のイニシャルと、間にヒマワリの葉を箔押しし仕上げました。そのお友達の顔や故郷を思いながら、あれこれと楽しそうに素材や色を考えていらした、とてもお友達思いのお客様。きっとこれ以上の心のこもったギフトはないのでは。と制作する間とても暖かい気持ちになりました。
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