2010.11.2

talk about leather – 皮から革へ

皆さんは、「皮」と「革」。このふたつの漢字のもつ意味の違いはご存知でしたか? 私は以前、レザー(一枚革)の専門店を母としていたのですが、その仕事に携わる前は意識せず使っておりましたし、意味の違いもあまり考えた事がありませんでした。

レザーについて詳しい、一番身近な存在の祖父に当時聞いてみたところ、「皮っていうのは、ナメス前の状態のもの。革は、それと違ってナメシタ後の状態のものを言うんだ」。
そこで聞いた事のない言葉が。「ナメス・・・?」 「ナメスっていうのは、薬品を使って、動物から剥いだ状態のコラーゲン質の皮を、バッグや靴、お財布なんかに使えるように、こうした繊維質にすること。漢字で書くと、革を柔らかくするって書くんだ」 なるほど、【なめす—鞣す】。 「あとは靴って言う字も、革が化けるって書くだろ?」 なるほど!【靴】。 レザーについて、全く知識のなかった当時の私には、祖父と二言三言交わすだけでも、沢山の知識や言葉が返ってきました。

2010.10.25

Vintage Book 2

今回は、昨年の秋にご紹介した、修復中のビンテージ本のその後をご紹介します。前回は本文用紙自体を強化をする為に、糊入れ作業をおこないました。保湿も出来、また水分を加えることで汚れも落とすことが出来たので、紙の色がワントーン明るくなりました。

次は目引き穴(折り帳を糸でかがる時に必要な穴)の修復と、背や本文ページに所々見られる亀裂や破れの修復です。これには繊維の沢山絡み合う、丈夫な和紙。そしてタバコ紙を使います。タバコ紙は純白色なので、これはビンテージの本の紙にそのまま使ってしまうと、いかにもここを修復しました。と違和感が出てしまいます。そこで、紙を紅茶にしばらく浸し、色を合わせてから使います。コーヒーの方が早くしっかり染まるのでは?と思うところなのですが、コーヒーは一見染まったように見えても、色がすぐに飛んでしまいます。

2010.9.27

New York -Cloistersミュージアム-

NYは、大規模で有名なメトロポリタンやグッゲンハイム、自然史博物館などのミュージアムから、NEUE GALERIEの様に、見落としてしまいそうなほどこじんまりとしたエントランスのミュージアムまで、素晴らしい美術館の宝庫です。今回ご紹介するのは、マンハッタンの北にあるThe Cloisters museum&gardens。最寄の駅に降り立つと、マンハッタンの中心とは打って変わり、遠い郊外に来たかのような雰囲気です。鳥がさえずり、緑とハーヴの香りに包まれながら歩くミュージアムへの散歩道。まだかまだかと少し不安になった頃、お目当てのCloistersの建物が見えた時、イタリアにいるかのような錯覚を覚えました。中世ヨーロッパの美術品の他、当時の資料を元に構築された建築と庭園など、静かで爽やかな空気の中でゆったりと楽しむことが出来るお勧めスポットです。