染色家の志村ふくみさん著「色を奏でる」より。『まだ粉雪の舞う頃だった。小倉山のふもとの方まで行った時、桜の木を切っている老人に出会った。その桜の枝をいただいて帰り、炊き出して染めてみたら匂うように美しい桜色が染まった。染場中なにか心までほんのりするような桜の匂いがみちていた。』 『花を咲かせる前に私がいただいてしまったのだと思うと、ああ、あの色こそ桜の精なのだと深く思い当った。』
『花びらから美しい桜色を染めるのではなく、あのゴツゴツした皮や枝から。木全体の一刻も休むことのない活動の精髄が、桜の花びらの色となるのだから。』
その言葉を受けたあとに見る、冷たい空気の中のたくましい幹や枝は、ほんのりと、淡いピンク色に目に映るようになりました。Lopiは、次の展示販売に向けての構想、準備が少しずつスタートしました。